遠野物語 21 -若葉の季節-

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zoom RSS 第34話  再会

<<   作成日時 : 2007/12/01 14:26   >>

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 猛スピードで走って来た僕は、キーと物凄い音をたてて旅館の玄関先で停まった。その音を聞き、薄暗い玄関先のソファーに座っていた女性が、驚いてこっちを見たよう気がした。そして玄関が開きっぱなしの旅館に飛び込んで、くつろいでいた女将さんに勢いよく言った。
「おかみさん、彼女戻って来ましたか」
呼吸も乱れ慌てていた僕は、外の日差しの眩しさも加わり、急に薄暗い所に入った為に顔の判別つかず、てっきり旅館の女将さんと思い込んでいた。ところが帰ってきた言葉に驚いた。
「タク、何をそんなに慌てているの、私女将さんじゃないし、それになんで自転車乗っているわけ」
そこには僕の気持ちも知らすに、冷たい麦茶を飲んでくつろいでいるサチがいた。
「なんでここにいるんだ」
肩で呼吸をしつつ冷静を装いながら聞いた。
「なんでって、行くところ無いから旅館に戻ったら、女将さんの話し相手をして麦茶ご馳走になっていたけど・・・・そんなあんたこそ何処行っていたのよ」
そう言われた僕は、なんだか今まで心配していたことがバカバカしくなり、冷静を装い一言だけ彼女に言った。
「心配して探していた・・・」
それ以上の言葉を言う気にもならず、自転車を返しに行こうと旅館を出ようとした。
「何処に行くの」
僕の言った言葉に何かを感じたのか、彼女の言い方が少し優しく思えた。でも僕はそっけない返事をした。
「自転車かえしに・・・」
「私も一緒に行く」
まるで幼い子供が、親のお使いについて来るようなしぐさで、急いで靴を履きだした。そんな彼女を待たずに、自転車をおして歩き始めた。
「まってよ、ねえ」
ゆっくりと少しうなだれた感じで自転車をおし、後ろから見て少し寂しそうに見せた。
「ねえ、怒っているの?」
「怒っていません」
「いいえ怒っている、だって言い方が敬語だもん」
彼女のいつものクセで、細かいところまでケチをつけてきた。面倒くさくなり、もう一度少し大声で言った。
「怒ってねーよ」
「ほらやっぱり怒っている、言い方がキツイ」
「あのな・・・」
サチがあまりにもしつこいので、僕は立ち止まり後ろを振り向いたら、彼女は勝ち誇ったような薄ら笑いをうかべていた。自分の方を向かせる為に、わざと言いがかりをつけて来たのだ。まんまと彼女のペースにはまってしまった僕だった。
 その彼女の顔を見たら、どこか構えていた僕の気持ちが和らいで、すでにいつもの二人の雰囲気になっていた。
「自転車で何処まで行ったの」
「遠くの山の方まで」
「何かおもしろい物有った?」
「特別何も無い」
    ・
    ・
    ・
遠野の町中を自転車をおし、他愛も無い会話をしながら二人で歩いた。

                          


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           次回 第35話につづく・・・



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