遠野物語 21 -若葉の季節-

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zoom RSS 第37話  飛行船という名前

<<   作成日時 : 2007/12/12 21:21   >>

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 オヤジの字のクセくらいは僕だって知っていた。
「だっておやじこんなに字うまくないし、それに少し丸くなっているしね」
僕が疑問を抱きながら見ていたインデックスシートを、サチがつまみ取り同じ様にじっと見ていた。
「うーん、確かに男の人の字にしては綺麗過ぎるし?女性が書いたようにも見える・・・ということは彼女かな」
「おやじに彼女が・・・」
と少し怪訝そうな顔をした僕だった。真面目で浮気などしないおやじに、母親以外の女性の存在は、何処と無く違和感があった。でも若い頃の事だから不自然ではないが、今ひとつ僕の心の中では想像が付かなかった。
「おじさんだって若い頃は彼女いたでしょ、なに変な顔しているの」
「まあ、そうだけど」
「バイ(by)飛行船と書かれているけど、これってやはり唄っていたバンド名だね」
僕はそんなことよりも、おやじの若い頃を想像することでいっぱいだった。そうは言ってもおやじから昔の話など聞いた事ないし、まったく思い浮かばず心の中がもやもやしていた。
「ねえタク、飛行船って空に浮かんで飛ぶ乗り物だよね」
ぼ−と考え事をしていた僕に、質問をぶつけてきた。
「ああそうだね、熱で空気を燃やして・・・・」
「似ているけれど それは熱気球でしょ、ほそ長くてその下に小さな乗る所が付いている乗り物」
「それは見たことないや」
「私も実際には見たことないけど、テレビで何度か見たかな・・・でも遠野物語と飛行船、何か関係あるのかな」
「関係ないだろ、ただグループ名が飛行船って言うだけと思う」
「そうかな・・・」
サチはどうにかしてその先を突き止めようとしていた。でも僕は今の状況では難しいと感じていた。決して諦めたわけではなく、名前なんてその時の思いで考える物で、30年前と現在とでは世の中が随分と違いすぎる。現に僕もサチも飛行船を見たことが無い。
「そうだよね、こんな周りが山に囲まれた町に、飛行船が飛ぶわけ無いしね、どこかに飛行船ないかな」
「あるわけ無いよ・・」
と呆れた顔をして言った。
 その瞬間「飛行船」という文字をどこかで見たような気がした。すると僕の中に、怖い顔をした喫茶店のマスターが浮かんだ。
「あっ」
僕は思わず口を開いたままサチと目が合った。彼女は僕の表情を見て眉間に力が入った。

                          

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            次回 第38話につづく・・・




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