遠野物語 21 -若葉の季節-

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zoom RSS 第58話  不快な目覚め

<<   作成日時 : 2008/02/27 22:35   >>

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 そして次に目が覚めると、窓際の揺れているカーテンの隙間から、朝の日の光が入り込んでいた。昨日の夜、閉めて寝たつもりの窓が、少し開いていたようだ。
 夢と分ったものの、あまりにもリアルだったので、変な気分の目覚め方をした。あんな夢を見たのは、ちゃんと布団に寝なかった事が原因と思っていた。でも一度起きてからは、布団で寝ていたにも関わらず、場面が違っていても登場人物がつながっていた。それにもっと不思議な事は、寝る時に部屋の中に誰かいたような感じもする。
 ボーとしていた僕は、部屋の扉が突然開いた事にも気がつかなかった。
「おはよう、めずらしく起きているけど、どうしたの?」
「あっ別に・・」
僕は頭の中の見た夢を整理する時間が欲しかった。しかしサチは僕の寝ぼけたような顔を覗き込んだ。
「なにをそんなに不機嫌な顔をしているの?私が起こしたわけではないのに?」
僕が見た夢を、彼女に話す事にどこか抵抗があり、もし話したとしても何処まで理解してくれるか、僕には自信がなかった。
「ああごめん、別にサチが悪いわけではないから心配するな・・いま起きるよ」
少し顔でも洗って目を覚ましたくて、僕はそのまま洗面所に向かった。ここ二日間の出来事で、疲れが取れていないのか、身体がやけにだるく感じた。
 洗面所の水道の水を手にすくい、何度も顔に押し付けて目を覚ました。旅館の水は凄く冷たく目の奥にしみるようだった。
「確か昨日の夜も、こんなふうに顔を洗っていたよな?」
そんな事を思い出しながら、僕は鏡に写った自分の顔を見ていた。
「はいタオル」
僕が何も持たずに部屋を出たのを見て、サチが珍しく気が付いて持ってきてくれた。
「ありがとう、あ〜すっきりした」
単純かもしれないが、先ほどまでの気持ちのもやもやが、多少取れたように思えた。
「さっき何か考えていたようだったけど、何か心配事でもあるの」
いつもと違い、彼女は僕を心配していた。
「そっちこそどうした?珍しく優しいじゃない、変な夢でも見たのか」
「そうではなくて、私が部屋に入った時のタクの顔が、凄くい恐ろしい物を見ている目をしていて、と言うか何かに取り付かれているような感じがした」
サチが言っている事は、決して的を外してはいないものの、その事を上手く説明出来ない僕は、その場をごまかしすしかなかった。
「ははぁ、そんなわけないだろう、俺 霊感ないし」
と言ったものの、恐ろしい夢ではなかったけど、あまりも現実すぎて、少し背筋がぞっとした。
「そういえばサチ・・昨日の夜 俺が寝た後 部屋に来た?」
「はぁ−?行くわけ無いじゃん」
そうだよな、一人で寝るのが寂しいとか言う女ではないのは分っていた。
「先に朝ごはんに行っていいよ、俺 着替えてから行くから」
「うんわかった、先に行っているね」
サチはそう言って、疑いなくその場から去って行った。僕は洗った顔をもう一度洗面所の鏡で見た。夢に出て来た新田の顔と、鏡に写っている僕の顔が似ていた。やはりあの新田は、僕のおやじなのかも知れない。親子だから似ているのは当たり前だが、よく見るとそっくりだった。
 こんな夢をこんな時に見る事は、確立からして凄い事だと感じた。夢とはいえ、あの空間の何処か高い場所から、見ていた光景ははっきり覚えている。


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            次回 第59話につづく・・・


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